[施工ニュース vol.01]鶴が舞い降りた橋

※本記事は過去に発行している「施工ニュース」をWeb用に掲載しているものです。

T-RAZO ボックスカルバート橋
(台形: トラペゾイド TRAPEZOIDO)

老朽橋脚の架け替え工事にプレキャストでは大変珍しい逆台形ボックスカルバートを使用しました。護岸と同形状にすることで、余堀等土工事を最小限に抑えることができ、工期短縮、経済性や工事環境に大変優れ、近隣住民の皆様からもお褒めの言葉をいただきました。

工事件名市道J-385号線整備工事
発注者厚木市役所
施工株式会社 厚木植木
施工場所神奈川県厚木市下古沢・飯山地内
施工年月2010年01月
工事内容ボックスカルバート敷設工
(上下分離型 現場組立)
敷設躯体台形BOX-W: 7200/4500 x H:2700 延長L=6.20m
施工前
施工後

<総評>
◎地元の方々からの感謝の声が上がり、お祝いムードがあって開通式も実施された。
◎施工中の不便さはあったものの、橋梁だと設計施工で2年近くかかるところ、単年度で完成、短期間(製品組立は3日間)でできた。
◎自然な仕上がりで、川幅にマッチした広さの橋ができた。橋梁にした場合、川幅により広く作らされてしまうが、今回はそのようなこともなく、既存護岸形状(間知ブロックの傾斜)に合わせた形に完成した。
◎橋の名前が、鶴舞橋と命名された。地元の地名が鶴巻という地名で、台形ボックスが、鶴が舞い降りてきた形に似ていることから付けたらしい。

構造方式上下分割型 逆台形ボックスカルバート
構造寸法W:7200/4500 x H:2700 x L:772
活荷重T-25
土被り0.100m ~ 0.317m
鉛直土圧係数α=1.0
水平土圧係数K0=0.5
コンクリート設計基準強度 σck=40N/mm2
許容曲げ圧縮応力度 σca=14N/mm2
鉄筋許容引張応力度 σsa=160N/mm2
単位体積重量鉄筋コンクリート γc=24.5 kN/m3
土 γ t=18 kN/m3
製品重量(上ブロック) Wu=9341kg
(下ブロック) Wd=6432kg
台形ボックスカルバート 設計条件

台形の上下分割を現場組立で行う為、接合方法を特殊仕様としている。一般的に、下部ブロックには埋め込みのPC鋼棒としているが、上下ブロックともにシース孔を設けて、1本のPC鋼棒で連結している。また、接合部にガイドピンを設けるなどの工夫もジョイント部に施している。道路隅切部をカルバート区間に設ける必要がある為、カルバートから鉄筋出しを行い、据付後に現場打ちコンクリートで築造している。

<製品の特長>
1.経済的である(附帯工事の軽減)
・河川護岸勾配形状にあわせることができる為、掘削土量・残土が低減される。また、床付け幅を狭くできるので、雑工種も低減される。
・底版幅が狭い為、素掘り掘削面にハメ込んで施工する。側道を削る必要がなく、用途を広く確保でき、封鎖する必要もない。
・内空が水路形状に合った護岸すり付けができる形状なので、内空コンクリート打設が不要となり、現場作業の省力化・施工の迅速化が図られる。
2.環境、騒音等の問題に徹している。
・掘削幅、コンクリート打設量、現場作業を最小限に抑えることができる為、交通規制や騒音、近隣迷惑等を最小限に抑えた、現場環境に優れた工法である。
3.景観が良い
・自然な仕上がりとなり、景観性を重視する場所や風致地区での採用に適している。
4.安心・安全な構造
・偏心荷重が作用しないように、接合部および緊張定着部をPC鋼棒引張力に対し、垂直な面としたことで接合部がハの字形状となり、水平方向に滑り難くなっている。