【連載】プレキャスト ボックスカルバートの彼是-ツルミ式ボックスカルバート誕生!-

1964年東京オリンピックにあわせた横浜新道の建設に、作業のスピードと安価な建設コストが要求されました。そこで鶴見コンクリートは国内で初めて現場打ちに代るボックスカルバートのプレキャスト製品を開発し、1963年5月にプレキャスト製品「ツルミ式ボックスカルバート」の販売を開始しました。 

ボックスカルバート
ツルミ式 ボックスカルバート

プレキャスト (precast)とは、あらかじめ工場で製作された製品のこと。

ツルミ式ボックスカルバートとして、現在に至るまで数々の工事に採用され、”施工期間の短縮”・”高品質”・”コスト削減”など高く評価いただいております。 
今回は、この製品がなぜ誕生したのか、社内で語られている話を紹介いたします。

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昭和34~5年頃、景気が上向き、民間住宅産業が次第に盛んになり、宅地造成現場で相当量のコンクリート製品が使用されるようになった。また、大手私鉄の宅造工事に貢献する機会にも恵まれた。一方新製品の開発が計画され、それを官庁関係に示すことが多々あったが、採用については枚挙に暇がない程、信用は絶大であった。同時に公開実験は非常に効果的なことであった。 
東京オリンピックを契機に、東京-沼津線(国道246号線)の工事開始と同時に、伊勢原工場の建設が始まった。そして道路公団において横浜新道工事に、現場打ちボックスカルバートに代る工場製品の需要があり、当社技術陣の開発により、ここに画期的なツルミ式ボックスカルバートが誕生したわけである。 

国内初ボックスカルバート_01
国内初ボックスカルバート_輸送風景

社史『ツルミCK回顧50年』より抜粋

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開発に携わった社員の話では、当時の総理大臣 吉田茂 氏が大磯の自宅から東京に車で通うのに、開かずの大踏切である戸塚大踏切で渋滞になることに怒り、作らせたと言われる横浜新道が発端。
横浜新道の建設工事は期日までに必ず終えなければいけなかったが、ボックスカルバートの現場打ちで計画したところ到底間に合わない状況だったらしく、当社技術陣が現場打ちに代るプレキャスト製品の開発に至りました。
この開発のおかげで施工期間が短縮でき、期日内に工事を終えることができたそうです。真偽は定かではありませんが、社内では誕生秘話として半世紀過ぎた今も語り継がれています。

開発以降は、茅ヶ崎工場にて公開実験を開催。多くの需要家の前で、新製品の強度試験を行い、当時の試みとしては大成功。この公開実験は、大いに技術面の真価を発揮し、営業部門への助成に役立ち、その後2~3年ごとに盛大に開催していたそうです。 

公開実験風景_01
公開実験風景_02
公開実験風景_03

昭和46年頃には「ボックスのツルミ」として、多くのユーザーから信頼され、多くの工事に採用。伊勢原工場に於いては、生産設備の大改革を実施し、当時は日本一を誇る大型ボックスカルバート製造工場となりました。
現在も、ISO9001の認定も取得し、お客様へ高品質かつ安全な製品の提供に努めております。

さて、今回の「ツルミ式ボックスカルバート誕生!」はいかがでしたでしょうか。
次回は、ツルミ式ボックスカルバートが誕生から様々な製品に発展した話を紹介できればと思います。