【連載】プレキャスト ボックスカルバートの彼是-”PRCボックスカルバート”の誕生-

 今回はツルミ式ボックスカルバートに橋げたなどで利用されていたPRC構造技術を応用した工法製品 “PRCボックスカルバート” を紹介します。

 一般的なPRC構造とはPC(プレストレスコンクリート)構造とRC(鉄筋コンクリート)構造の中間にあたる構造で経済性とひび割れ抑制性能を兼ね備えた構造形式です。
 しかし、1965年ごろに当社で開発したPRCボックスカルバートは、このPRC構造を応用し、プレキャストボックスカルバートの製品間にPC鋼材によるプレストレスを導入し、縦緊張連結にて一体化する工法製品です。当時はその製品をPRCボックスカルバートと呼称しました。
 この連結によりオスメスを通常連結したボックスカルバートよりも一体化され軟弱地盤での敷設における不等沈下の防止や耐久性能が向上しました。

 そもそも、地下コンクリート構造物は、基礎条件(地耐力等)によって「施工性・費用・耐久性」が変わります。それは、接合箇所の多いプレキャストボックスカルバートも同じため、この工法製品は軟弱地盤に対するボックスカルバートの敷設対策に多く利用されています

 開発当時以降、公共土木関連の顧客を多数招き、縦緊張連結時の安全性を確認するための載荷試験を含む公開実験を定期開催しました。

 また当時は工場でボックスカルバートを縦緊張連結し、一体となったボックスカルバート数本をトラックに載せ、現場搬入したこともあったようです。

 さて最後となりますが、実は開発当時この製品にはもう一つの特徴がありました。
 それは、製品の両端下に独立基礎を設けて独立基礎間の埋設物の移動を最小限に抑えられるというもの。

 しかし、阪神・淡路大震災以降は暮らしている皆様の安全を考慮し、大きな縦揺れにも対応できるよう独立基礎での敷設はやめ、基礎コンクリートの上に敷設 するようになりました。

 軟弱地盤に対応するために開発されたPRCボックスカルバート、この製品で培った技術がプレキャストガレージ防火水槽遊水池ブロック等に応用されていきます。
 これらはまた別の機会に紹介できればと思います。

 今回の「”PRCボックスカルバート”の誕生」はいかがでしたでしょうか。
 引き続きツルミ式ボックスカルバートを応用した様々な製品を紹介できればと思います。